測量とは?測量機器の種類と機能・効率的に測量を行うポイント
土木建築分野では、周辺環境との位置関係が重要になるため、測量を行って正しくその土地を把握しなければなりません。
測量は、土地の面積や長さ、地形を正しく知るために欠かせない作業です。地図の作成や縮尺化にも測量の結果が反映されるため、正しい知識と技術をもって行われています。
この記事では、測量の概要と機器の種類や機能について紹介しています。測量を効率的に進めるためのポイントも取り上げていますので、機器選びの参考にしてください。
測量とは
測量とは、器具を使って物の高さや長さ、広さや距離を測る技術および作業の名称です。
測量の種類は、国土地理院が行う「基本測量」と、国または公共団体が経費を負担または補助する「公共測量」があります。さらに、基本測量以外では民間の事業者などが行う「基本測量及び公共測量以外の測量」があります。
測量技術は集落や都市ができあがる過程で文化とともに発展してきた歴史があり、日本では1800年ごろに日本地図を作成するために測量が行われました。
地図の作成以外では建築物の設計や施工、災害後の復旧工事や災害防止のための土木工事、土地の相続といった不動産にかかわる目的でも測量が行われています。
地上以外にも、海上保安庁などが海上から水深や海底地形を把握するために測量を行っています。地形や深さの把握に付随して、海水温や海流といった重要なデータも採集されます。
測量によって正しく境界や位置関係が把握できるようになり、土地・建物の面積も確定します。正しいデータをもって、建築や不動産登記といったそれぞれの目的へと進めるようになるため、測量は生活に欠かせない技術・作業なのです。
※参考元:国土交通省「測量業者登録制度とは」
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測量機器の種類と機能
測量機器には、レベル・セオドライト・トータルステーション・レーザートラッカー・レーザー距離計・GNSS測量機などがあります。
それぞれの特徴と機能を確認していきましょう。
①レベル
レベルとは、十字線が描かれた望遠鏡型の機器です。
台の上に望遠鏡が取り付けられたような形で、直接覗き込んで視準線と呼ばれる十字の線を合わせて使用します。自動で視準線が補正されるものは「オートレベル(自動レベル)」、標尺目盛りを自動で読み取るものは「デジタルレベル(電子レベル)」と呼ばれています。
本体を手動で調整し、耐振動性能にすぐれる「ティルティングレベル」や、レーザーポイントを内蔵した「レーザーレベル」という機器も使用されます。
関連記事:高低差の確認に使われる測量機器「レベル」の特徴・種類と使用方法
②セオドライト(トランシット)
セオドライト(トランシット)は、水平方向・垂直方向に回転させて基準からの角度を測定する機器です。
かつてのアメリカでは「トランシット」という名称で機器が開発されましたが、世界的には「セオドライト」という名称が定着しています。ハンドルタイプの持ち手の下に回転するレンズが挟み込まれた形が特徴的です。
デジタルマイクロメーターを搭載した「光学セオドライト」や、角度をデジタル表示させる機能がついた「デジタルセオドライト」のように角度の測定をスムーズに行える機器が揃っており、デジタルセオドライトにレーザー機能を組み込んだ「レーザーセオドライト」も使用されています。
③トータルステーション
トータルステーションは、対象物に反射シートを取り付けて、そこから反射した光を受光・解析して距離を測る測量機器です。
対象物の距離と角度を両方測定できるため、土木建築分野では工事計画や施工、地図の作成といった多用途に活用されています。
通常のトータルステーションはプリズムをレンズで視ながら測定しますが、ノンプリズム(ターゲットが不要)タイプや電子野帳プログラムを搭載したもの、プリズムを自動で視準し自動追尾するものもあります。
④レーザートラッカー
レーザートラッカーは、対象物にレーザー光を照射し、反射した光を解析して3次元位置を特定する光学式の測定機器です。
投影・受光部は三脚などで固定し、得られたデータを解析する制御用のパソコンが付帯します。
大きな対象に対しても3次元測定が可能で、ハンドツールが使えない場所でも3次元的な測定を可能にします。土木建築以外では自動車産業・航空宇宙産業・電気業・防衛にも用いられています。
⑤レーザー距離計
レーザー距離計は、対象物にレーザー光を照射し、反射した光を解析して距離を測定する機器です。
距離以外にも、面積や体積が測定できるものもあります。メジャーが届かない場所や、メジャーの長さだけで測れない場所の測定に向いています。
レーザートラッカーは大型サイズの対象物も測定できますが、レーザー距離計はスポーツやDIYといった一般家庭用に用いられるものが多く、ハンディタイプの測定器が揃っています。
⑥GNSS測量機
GNSS(Global Navigation Satellite System)は「汎地球航法衛星システム」の略称で、GPS衛星の電波を受信して位置を計測する技術です。
GNSS測量機はこの技術を取り入れた機器のことで、GPS衛星から発信されている2種類の搬送波の片方もしくは両方を受信します。
GNSS測量機には地面に立てて使うもの、小型GNSS受信機を搭載したドローン、モバイル測定器があります。
ドローンは遠隔操作によって空中から対象物を計測できる機器です。災害発生現場のように、人の立ち入りが難しい環境でも面積や地形を把握でき、無人飛行が可能です。
モバイル測定器は、コンパクトかつ軽量で持ち運びがしやすく、山の上のように過酷な環境にも持参しやすい測定機器です。ドローンの飛行が禁止されている場所では、モバイル型の機器が活用されています。
測量を効率よく進めるためのポイント
測量を効率的に進めるには、以下のポイントが重要です。
【効率的に測量を行うポイント】
- 現場に適した機器を使う
- 自動解析システムを利用する
- 扱いやすい機器を導入する
測量では、土地・建築物・地形・水路のように、大きさや面積が異なるさまざまなものを計測します。対象物の種類や周辺の位置関係を参考に、現場に適した機器を使用することが大切です。
対象物との比較的短い距離を測定するレーザー距離計や、土木建築の現場で活用されているレーザートラッカー、GPSを利用したGNSS測量機など、作業内容に適した機器を使用してください。
測定機器は機能が豊富で、少人数でも作業できるものが理想的ですが、機能が豊富なために扱いにくいものはかえって作業効率が低下するため、扱いやすい機器を導入すると良いでしょう。
測量作業をよりスムーズに行うために、利便性の高いデバイスを採用することも検討してください。
測量したデータをデジタルレベルで収集し保存する「データコレクタ」と呼ばれるデバイスは、GNSS受信機やトータルステーションのコントローラーであり、ソフトウェアと組み合わせてデータを保存するものです。
デバイスをいくつか組み合わせることで手作業や手入力の手間が省けるため、作業が効率的に進められます。
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測量作業に適した機能や価格帯の機器を選ぶ
今回は、測量の概要や目的、測量機器の種類と機能について紹介しました。
測量を必要とするシーンには広範囲の計測が必要なケースや正確性の高いデータが必要なケースと、目的や状況が異なります。状況を明確にしたうえで、必要な機器を選ぶことが大切です。
機器や測量にかかるコストのほかにも、現場に導入したときに作業がスムーズに進行するものを選びましょう。機能や扱いやすさも重視し、測量を効率的に進められる機器を選んでください。