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水質調査の指標「濁度」とは?SS(浮遊物質量)との違いと測定方法

「濁度(だくど)」は、河川や湖沼の水質を評価するための指標です。環境保全や公害防止などさまざまな観点から濁度が調査されています。

水質基準は環境省や国土交通省によって決められており、水質を汚染する可能性のある企業は定期的に濁度を調査・計測しなければなりません。

この記事では、濁度の概要やSS(浮遊物質量)との違い、濁度の単位と測定方法について紹介します。濁度の基準も取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。

濁度について

濁度(だくど)は、水の濁りの程度を表す指標です。濁りが発生する水に対して使われる指標で、水中に存在する物質によって透明性が失われる度合いを示します。

たとえば、粘土などの不溶解性物質が存在する水は、水に溶けないもののため細かく浮遊し、水の濁りが発生します。自然の河川や湖沼には水溶性物質も溶け込んでいるため、不溶解性物質だけが濁りを発生させているわけではありません。そのような水を調べる際に、濁りの程度を示す数値が濁度です。

濁度は堆積物や鉱物、微生物と相関関係があるため、水質測定にも適している指標といわれています。濁度の測定範囲は河川や湖沼のほか、海や工業排水、上下水道も含まれます。

SS(浮遊物質量)との違い

SSは「Suspended Solid:浮遊物質(量)」という意味の言葉で、水中にある直径2mm以下の不純物の量を示します。懸濁固形物量と呼ばれることもあります。

この浮遊物質は不溶解性物質または懸濁物質とも呼ばれ、水に溶けるものはSSに含まれません。

SSは不溶解性物質が存在する水の調査で使われます。浄水や不溶解性物質が存在しない水に対しては適用されない指標です。

濁度を表す単位

濁度は、濁りを測定する際に使われる標準液に応じて単位が異なります。ホルマジン・カオリン・ポリスチレン(PSL)が校正に使われ、それぞれ標準液を希釈して調製します。

ここからは、ホルマジン標準液とカオリン標準液を使用した場合についてみていきましょう。

ホルマジン標準液を用いた場合

ホルマジン標準液を用いた調査では、標準物質であるホルマジンが蒸留水の中に懸濁しているときに「NTU」「1度」「FTU」などと表記します。

ホルマジン標準液はカオリン標準液よりも分散安定性が良いため、多くの調査に用いられています。日本ではいくつかの単位が用いられていますが、NTUはアメリカでも用いられている単位です。

カオリン標準液を用いた場合

カオリン標準液を用いた調査では、カオリン(白陶土)1mgが蒸留水1lの中に懸濁しているときに「1度(mg/L:カオリン)」と定めています。

カオリン濁度10mg/Lなら、カオリンが蒸留水1lに10mg混合しているという意味です。

濁度の測定方法

濁度の測定方法は次の5つです。

  • 表面散乱光方式
  • 透過散乱光方式
  • 積分球方式
  • 散乱光方式
  • 透過光方式

5つの測定方法を確認していきましょう。

表面散乱光方式

表面散乱光方式は、安定した静かな水面に斜め上から光を入射し、液面から散乱した光を検出器で受け止めて変換器を通し、濁度として表示する方法です。

散乱光が強いほど測定対象の液の中に懸濁物質が浮遊していると考えられ、試料の中に微小な粒子が混じっていても検出することができます。他の方式と比較して応答がやや鈍くなること、気泡や試料の色の影響を受ける点が短所です。

水の表面の散乱光を測定する方法のため、測定液が無色ではなくても影響がありません。低い濃度から高い濃度まで測定できます。

透過散乱光方式

透過散乱光方式は、光源から測定対象に向かって光を入射し、液面から散乱した光と透過した光をそれぞれ検出して、液の濁りによって変化する2つの光の比を演算して濁度を求める方法です。

表面散乱光方式は散乱光のみを検出しますが、透過散乱光方式は2つの光を確認します。濁りのある水ほど光をまっすぐに通せず散乱するため散乱光は強くなり、反対に透過光の強さが減少するという性質を利用して濁りの程度を求めます。

試料の色の影響を受けにくく、0〜2,000度まで極低温の測定に適しています。窓の汚れや試料の気泡からの影響を受ける点が短所です。

積分球方式

積分球方式では、内部に反射率の高い素材を使用した球体(積分球)に入射光を採り込み、中で散乱させて散乱光を作り出して、入射光と散乱光の明るさを測定します。それぞれの光の比を演算して濁度を求める方法です。

測定当初は高い精度で結果が得られますが、屋外で使用し続けていると球体の内面が劣化し、通水性に劣る可能性があります。そのため、劣化のおそれが少ない屋内の試験室などでの測定に適しています。

散乱光方式

散乱光方式は、測定する液体に光を放射して透過光と散乱光の明るさを測定します。それぞれの測定対象の液中に光を入射し、液中での散乱光のみを測定します。表面散乱光方式と同様に、散乱光の強さが測定対象の液中の懸濁物質濃度と比例関係になることを用いて測定する方式です。

表面散乱光方式では表面部分での散乱光を測定しましたが、散乱光方式では液内部の散乱光を測定している点が違いといえます。

透過散乱光方式と同じく、窓の汚れや試料の気泡からの影響を受ける点が短所です。

透過光方式

透過光方式は、対象の反対側から光を入射して、その反対側から透過光を測定します。不溶解性物質の影響を受けて光がどの程度減衰したかを判断し、濁度を測定する方式です。

0〜10,000度までの測定範囲に対応し、高濁度の測定に適しています。ただし、物質の粒径が一定であり水の色が乳白色の場合は精度の高い結果が得られますが、物質の粒径や水の色が乳白色以外の場合は、測定結果が変動することがあります。

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濁度の基準

濁度は、対象の液体が10NTU以下であれば視認できますが、10NTUを超えると濁りが発生します。道路などにある一般的な水たまりは50〜300NTU程度ですが、水道水は0.2NTUほどです。(※1)

厚生労働省では、「水道法第4条に基づく水質基準」において、「水道水が有すべき性状に関連する項目」17項目を定めています。その中で、水道水の濁度の基準値を2度以下と定めています。

※1参照元:北海道後志総合振興局「濁度とは?」

※2参照元:厚生労働省「水道法第4条に基づく水質基準」

濁度とSSの違いや基準・測定方法をチェック

今回は、水質を調査測定する際の指標となる「濁度」について、概要やSSとの違い、測定方法を紹介しました。

液体に物質が溶け込むと濁りが発生しやすくなりますが、どの程度の濁りであるかは濁度を調べる必要があります。ただし、どの測定方法でも正しい結果が得られるとは限らず、測定機器の劣化による精度の低下も考慮しなければなりません。

測定対象の液体、測定場所・環境に適した方法や機器を選ぶことが大切です。

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