トラックスケールとは?用途や活用されている業種・種類を紹介
ごみや砕石、非鉄金属といった重量物や材料を運搬する場合は、重さを一つずつ計量することができません。そこで、車両の重量と積荷の重量をそれぞれ正確に把握するために、トラックスケールが用いられています。
積荷の重さによって買取価格が変わる場合、積載された物の重量をトラックごとに測定します。トラックスケールは産業廃棄物処理やごみ処理、その他の収集・運搬業務に欠かせない機器なのです。
この記事では、トラックスケールの概要とトラックスケールが使われる業種、種類や特徴について紹介します。選び方のポイントも取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
トラックスケールとは?
トラックスケールとは、車両と車両に積載された積荷の重さを量る大型の重量計(計量器)です。
「台貫(だいかん)」とも呼ばれ、トラックは積荷を載せたままトラックスケールの上に乗り、停止して車両と積荷の重さを計測します。体重計と同じ要領で、過積載の確認や積荷の重さを把握できます。
設置方式は、地中に穴を掘ってスケールを埋め込む埋め込み式(ピット式)と、地上式と呼ばれるスロープ状の地上式(ピットレス式)の2タイプです。
埋め込み式・地上式のいずれも、計量する物を載せる台座部分、重量を感知する部分(センサー・荷重検出部)、感知した重さを表示する指示計やディスプレイで構成されています。計測できる重さやトラックの大きさは製品によって異なり、100トンまで対応しているものもあります。
大きさや対応可能な重量は製品によって異なります。設置のしやすさや価格など、量りたい対象に合ったトラックスケールを選ぶことが大切です。
トラックスケールが用いられる業種
トラックスケールが用いられる業種は次のとおりです。
業種 | 業種の特徴 |
収集運搬業 | ごみや産業廃棄物の収集・運搬を行う業種 |
卸売業 | 古紙や鉄スクラップ、非鉄金属などの回収・卸売を行う業種 |
鉄鋼業 | 重工業の一種で、鋼材を生産する業種 |
製造業 | 生コンクリートや食品などの製品を製造する業種 |
インフラ | 電力・ガス・水道などの業種 |
その他 | 道路・工場・港湾施設・処理場・物流センター等の施設 |
上記は、個数として数えられない物や取り出せない物を収集・運搬する業種です。業種ごとに分類しない場合は、道路や工場といった施設単位でトラックスケールが使われる場合もあります。
トラックスケールの種類と特徴
トラックスケールの種類は、地上式と埋め込み式のほかにも「ロードセル式」「機械式」といった分け方があります。
- ロードセル式
- 機械式
- 地上式
- 埋め込み式
4つのタイプにはどのような特徴があるのか、詳しくみていきましょう。
ロードセル式
ロードセル式とは、ロードセルと呼ばれるデジタルばかり(量り)を使ったトラックスケールの一種です。
ロードセルは金属でできており、上に力が加わると金属のひずみが生じます。その際に発生する抵抗値の変化が荷重検出部に伝わり、感知した変化の値(重さ)を電気信号に変換して、指示計やディスプレイなどに出力する仕組みです。
ロードセルの中には電子回路やセンサーが組み込まれているため、力がかかると自動的に電気信号に変換します。
機械式
機械式のトラックスケールは、てこの原理を応用した台ばかりの仕組みを使って作られたトラックスケールです。
現在主流となっているデジタルばかりが登場する前は、この機械式トラックスケールが使われていました。耐久性にすぐれ、故障しにくく長持ちする点がメリットです。
計量に時間がかかること、メンテナンスコストや製造者が限られるといった理由から、現在ではほとんどがロードセル式に置き換わっています。
地上式
地上式はピットレス式とも呼ばれ、穴を掘らず地上に直接設置するトラックスケールです。
地盤がゆるい、工事車両が入れないなどの環境にも適用可能で、大掛かりな工事が不要なため、搬入のみで設置が完了します。
はじめに、地表に基礎を立ててからスケールを設置します。トラックが進入するためのスロープを設けて、積載ブロックと呼ばれる部分にはロードセルや振れ止めなどを設置します。スロープから逸脱しないように、タイヤガイド用ブロックの設置が必要です。
地上式には、コンパクトで厚みが少ないフラット型や薄型タイプも選べます。
一般的な地上式のトラックスケールよりも基礎工事のコストがかからず経済的ですが、薄型のトラックスケールは取り扱いのあるメーカーが限られています。ひょう量(※)やサイズ感、メンテナンス性を確認して購入を検討してください。
※ひょう量(秤量):トラックスケールで量れる最大の重さ
埋め込み式
埋め込み式はピット式とも呼ばれ、地中にピット(溝穴)を掘ってロードセルや積載ブロックを埋め込むトラックスケールです。
埋め込み穴を掘る基礎工事と、穴の中にスケールを設置する工事がそれぞれ必要ですが、スロープが不要なため設置スペースをコンパクトにできます。
スロープ部分を設けないことで車両が進入しやすくなるので、狭い場所や道路からトラックスケールまでの距離が限られている場所でも進入経路が確保しやすくなります。
トラックスケールの選び方
トラックスケールを選ぶポイントは次の3点です。
- 土地の状態を確認する
- ひょう量を決める
- トラックスケールの種類と積載台の寸法を決める
設置する土地の状態、ひょう量や寸法を考慮することが大切です。
土地の状態を確認する
はじめに、トラックスケールを設置する土地の状態を確認しましょう。
- 地盤の強さ:埋め込みに適した地盤の強さが確保できること
- 地盤の掘削しやすさ:掘削できる程度の地盤であること
設置スペースが限られている場所では埋め込み式のトラックスケールを検討することになりますが、地盤が弱い場合は埋め込みに適していない可能性があります。また、掘削しにくい固い地盤はコストがかかるため、地上式を検討しましょう。
ひょう量を決める
ひょう量とは、トラックスケールで量れる最大の重さのことです。車両の重量と積載物の重量を足したものがひょう量です。最大何トンまで量りたいかを決めて、その重さに対応するトラックスケールを選びます。
トラックスケールの種類と積載台の寸法を決める
トラックスケールは機械式またはロードセル式から選び、ロードセル式は地上式と埋め込み式の2種類があります。種類を選んだら、ひょう量や積載台の寸法から製品を絞り込みましょう。
トラックスケールの特徴や設置場所を比較して選ぶ
今回は、トラックスケールの使用用途や種類、特徴について紹介しました。
トラックスケールは車両と積荷の重さを正確に量る計量機器で、サイズや設置方式などが豊富に揃っています。製造業や収集・運搬業などさまざまな業界で活躍しており、限られた条件でも設置できるコンパクトなタイプや薄型タイプもあります。
製品の機能やオプション、メーカーの実績や設置にかかるコストなども比較のポイントになります。本記事で紹介した選び方のポイントも参考に、用途に合う製品を選んでみてはいかがでしょうか。
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