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サーモグラフィーの意味や仕組みとは?3つの特徴と計測時の注意点

サーモグラフィーは、赤外線を使って物の表面温度を測る装置です。自動車・機械・電気・航空宇宙産業などさまざまな場面で使用されており、医療分野では体温計測に役立てられています。

赤外線を使うシステムというと難しい印象がありますが、感染症の対策にも用いられており、身近な技術であることがわかります。

この記事では、サーモグラフィーの特徴や仕組み、注意点について紹介します。サーマルカメラとの違いやサーモグラフィーの活用事例もぜひ参考にしてください。

サーモグラフィーについて

サーモグラフィーは、物体から放出される赤外線を感知し、熱の分布を画像に表す装置です。

赤外線は周波数の低い電磁波のことで、温度をもつ物質はすべて赤外線を放射しています。3種類ある赤外線(近赤外線・中赤外線・遠赤外線)のうち、サーモグラフィーは遠赤外線を感知します。

温度が高いところほど赤外線は強くなり、温度が低いところほど赤外線は弱くなります。この性質を利用して赤外線の温度差を検出することで、対物の温度分布を測定できます。

遠赤外線の温度差は色で表され、視覚的に温度の高い場所と低い場所が視認できます。測定時は物体に接触する必要がないため、接触が不可能な高温・低温の物体に対しても温度計測が可能です。

非接触による温度計測が可能なため、病院や感染症対策を実施している場所では体温測定にサーモグラフィーが活用されています。

サーモグラフィーの原理と仕組み

サーモグラフィーには、温度の計測・赤外線の可視化という2つの特徴があります。それぞれの仕組みについて確認していきましょう。

①温度の計測

赤外線は、温度をもつ物質すべてが放っている光のことです。無機物でも熱をもつものは赤外線を放っており、温度が高いほど赤外線の放射量は大きくなるため明るく光って見えます。

サーモグラフィーは赤外線をビジュアル化する装置であり、物体から離れていても温度を測定できます。応答が速いため、計測に時間がかからずリアルタイムでの映像化が可能です。

②赤外線の可視化

赤外線は目に見えない電磁波ですが、サーモグラフィーを通すことで検出したエネルギーを見かけの温度として変換し、温度の分布を色分けして可視化します。

点ではなく面として色分けできるので、温度の高いところはオレンジ・赤・紫系統に、温度の低いところグリーン・ブルー・濃い青で表されます。温度分布を一目でチェックできます。

サーモグラフィーの内部にはセンサーが内蔵され、冷却型と非冷却型に分けられます。赤外線を可視化することで対象物の存在を検知できるので、防犯機器としても役立ちます。

サーモグラフィーの特徴

サーモグラフィーは対象物の表面温度を非接触で測定できます。広範囲に表面温度を比較でき、可視光線が存在しない場所でも使用可能です。

ここからは、サーモグラフィーの3つの特徴をみていきましょう。

対象物の表面温度を非接触で測定できる

赤外線を検出するだけで温度がチェックできるので、対象物に直接触れる必要がありません。

感染症の予防や危険な場所、稼働中のマシンを遠隔で温度を測定できます。また、機械の稼働を止めたり設備の分解・破壊をしたりする必要がないので、設備点検や稼働状況の把握にも役立ちます。

広範囲の表面温度を比較できる

ピンポイントではなく、赤外線を放射するすべての対象物を「面」として捉えて可視化するため、広範囲に表面温度が計測できます。映し出したものの温度を手作業で測る必要がなく、その場で温度分布を表示できます。

可視光線がない場所でも測定できる

可視光線とは人間の目に見える電磁波(光線)のことですが、赤外線は不可視光線のため肉眼では確認できません。

サーモグラフィーはそのような場所でも的確に温度を計測し、さらに無人の環境でも稼働して、人間の代わりに温度の変化や状況を把握します

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サーモグラフィーの注意点

サーモグラフィーには2つの注意点があります。ガラス越しの計測が困難であり、測定結果が周辺環境に左右されるおそれもあります。さらに詳しく2つの注意点を確認していきましょう。

注意点①ガラス越しの計測が困難

ガラスは紫外線を通さない性質をもつため、ガラスを挟んだ状態での測定はできません。

窓を介して温度を測定する場合は、窓に使われている素材が赤外線を十分に透過している必要があります。

注意点②測定結果が周辺環境に左右される

測定する場所や対象物によっては、周辺環境に左右され誤差が発生する可能性があります。

測定の対象物以外の赤外線放射、他の物体に反射した電磁波の干渉によって誤差が発生し、さらに気温の影響も受けるため、寒暖差の激しい環境下では注意が必要です。

サーモグラフィーとサーマルカメラの違い

サーモグラフィーは検知した熱を可視化し、映し出した映像のことです。サーマルカメラはサーモグラフィーを映し出すためのカメラを指します。

サーモグラフィーとサーマルカメラは同じものを指しており、仕組みもまったく同じものです。映像かカメラかという違いで呼び分けています。

サーモグラフィーの活用事例

赤外線は光よりも透過しやすく、サーモグラフィーによる検知が容易です。視認性が悪い環境でも使用できるため、建築や医療とさまざまな場所で利用されています。

サーモグラフィーが活用されている5つの事例について確認していきましょう。

①工事現場

工事現場では、建物の表面温度を計測する非破壊検査や電気系統、機械設備の点検に用いられています。現場で使用している設備に異常な発熱がみられないかを確認できるほか、建物の温度から熱の伝導状態を確認します。

②建築現場

建築現場では、水漏れ・雨漏りの調査や建物の断熱性能を診断する際に用いられています。工事現場と同じく電気設備の点検にも使われ、異常な発熱がないかを調べます。カビや温水管の欠格箇所も検出可能です。

③医療現場

医療現場では、患者や医療従事者の体温を確認し、発熱や感染症の早期発見・早期治療と拡大防止に用いられています。病院や診療所のような医療機関ではサーモグラフィーカメラが設置され、入館者自身が体温や発熱の有無を確認できます。

④製造工場

製造工場では、部品や部材の製造工程で作業の状況をモニタリングします。視認性が低い環境でも稼働できるので、無人化や省人化された環境でも活用されています。リアルタイムに温度変化を捉えるので、設備の異常検知や温度管理が可能です。

⑤食品製造

食品製造の現場では、主に食品の品質管理や品質保持に用いられています。自動調理を行う工程では均一の温度で調理できているかサーモグラフィーで確認し、製造設備機器に不具合や故障、異常が起きていないかもモニタリングします。

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サーモグラフィーは使用用途や環境に合うものが選べる

今回は、サーモグラフィーの特徴と仕組み、注意点や利用用途について紹介しました。

サーマルカメラはコンパクトなものが増えており、手に持って使うハンディタイプや三脚を立てて使うもの、スタンドの上に画面を搭載し顔を映し出して熱を測る装置など、用途や使用場所に合わせたものが選べます。

屋外用や回転式、Wi-Fi・Bluetooth対応といった性能面を比較して、使用目的に合う製品を探してみてはいかがでしょうか。

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