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高低差の確認に使われる測量機器「レベル」の特徴・種類と使用方法

ある地点の高低差や高さを測定する際、「レベル」と呼ばれる機器を使用して測量を行います。
 
この作業はレベル測量と呼ばれ、土木や建設の分野では起伏や勾配を把握し、建設計画をたてるうえで重要な作業となっています。
 
この記事では、レベル測量について概要と手順、レベルと呼ばれる機器の種類を紹介します。測量にあたり注意したいポイントもまとめていますので、機器選びの前にぜひチェックしてください。

レベル測量とは?

レベル測量(水準測量)とは、三脚の上に望遠レンズがついた「レベル」という機器を水平な場所に立てて覗き込み、土地の勾配や起伏を確認する測量方法です。
 
建物などの建築では、地震などに強く傾きのおそれが少ない基礎を造ることが大切です。強い基礎づくりには土地の特徴を立体的に把握する必要があることから、レベル測量が重要な意味をもっています。
 
レベルは、各地点の高さを出して高低差(起伏)を知ること、道路の勾配や建物を建てる場所が水平になっているかを確認するといった目的に使われています。

レベルの種類

レベルにはオート・デジタル・ティルティング・レーザーという4つの種類があります。いずれも高低差や高さを測定するための機器ですが、どのような違いがあるのでしょうか。

オートレベル(自動レベル)

オートレベルは、建築物の高さや水平の確認を行う代表的な測量機器です。
 
名前のとおり自動で補正する機能が搭載されており、三脚に立てて置いたときに自動で水平の状態に調整します。
 
オートレベルが登場する前まではティルティングレベルと呼ばれるタイプが主流でしたが、自動補正機能が搭載されているため、測定者を選ばずに使えるため、現在はオートレベルが広く使用されています。

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デジタルレベル(電子レベル)

デジタルレベルは測定・データ記入を自動で行うデジタル化されたレベルです。
 
オートレベルと同じく水平や高さが測定できる機器で、誤差が発生しにくいため、補助者を使わず一人でスムーズに作業したい場合に適しています。
 
ただし、デジタルレベルは電源が必要なため、定期的に充電できる環境や急速充電器・バッテリーなどの設備が必要です。

オートレベルとデジタルレベルの違い

オートレベルとデジタルレベルの違いは次のとおりです。

機器 オートレベル デジタルレベル
測定できる値 高さ・水平・勾配 高さ・水平・勾配
特徴
  • 高精度
  • 自動水平維持・自動補正・自動読み取り
  • デジタル表示
  • 短時間測定
  • 自動計算・自動補正・自動読み取り

どちらも高さや勾配を測定するもののため、測定できる対象が異なるということはありません。
 
ただし、搭載されている機能はメーカーごとに異なり、上位かつ最新のモデルほど高機能の場合があります。デジタルレベルには、オートレベルの機能を搭載し自動的に補正や読み取りを行うものもあります。

ティルテイングレベル

ティルティングレベルは、高感度の気泡管によって水平を測る測量機器です。
 
本体の水平を調整し、測定者自身が望遠鏡を覗きながら整準できる特徴を備えているため、振動のある場所でも微調整をしながら測定が行えます。
 
古い機種には自動補正機能が搭載されていないため、手動での作業になります。

レーザーレベル

レーザーレベルは、赤外線レーザーポイントを内蔵している水平器です。
 
オートレベルやデジタルレベルは高さの計測に使われていますが、レーザーレベルは水平を保つためにレーザー光線を照射します。
 
高さの計測も可能ですが、レーザー光を使った水平ライン検出のほうが高精度です。

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レベル測量の手順

レベル測量の手順は、レベルの設置場所の確認・三脚の設置・レベルの設置・レベルの調整・望遠鏡のピント調整の5ステップです。
 
広く使用されているオートレベルの使用を念頭におき、5つのステップについて確認していきましょう。

①レベルの設置場所を確認する

はじめに、三脚とレベルの設置場所を決めていきます。
 
水平かつすべての基準点(測点)が見通せる場所が理想的ですが、測点がすべて見わたせなくても問題はありません。
 
設置場所の周りに障害物があると、レベルを見通しの良い場所に移動させながら測定しなければならないため、土地であれば全体の中心に設置場所を選ぶと良いでしょう。
 
足元は、地盤が固くしっかりとしている平面を選びます。勾配がある場所はレベル自身がぐらついたり、測定者の安全が確保できなかったりするおそれがあります。

②三脚を水平に設置する

次に、三脚を水平に設置します。面の上に三脚がしっかりと立てられることを確認し、安全に立てられることを確認してください。
 
土を固めただけの地面は、三脚を立てるだけではぐらつくおそれがあります。そのような場所では、脚の先を地面の中にしっかりとさしこみましょう。
 
脚の長さにも注意が必要です。レベル自身が水平になるように長さを考慮しながら、勝手に倒れたり風にあおられたりしない程度の高さに調節してください。

③レベルを三脚に設置する

三脚が設置できたら、その上にレベルを設置します。本体は手に持てる程度の大きさで、重量はなく比較的安全に設置できます。
 
レベル本体を三脚にセットし、落ちないようにしっかりと固定します。三脚の向きと合うように、正しい方向へ設置しましょう。
 
三脚にレベルを設置したとき、測定者が一度レンズを覗き込んでみます。そこで高さが合わなければ、三脚の高さを適切な位置に調整してください。

④レベルの調整を行う

レベル本体の整準ネジを回し、レンズ内の気泡を中心部分の赤丸の中に入れます。オートレベルは自動補正機構が搭載されているため、本体が万が一傾いても視準線が自動的に水平に保たれます。
 
測点に別の作業者が立ち、測定者がオートレベルのレンズを覗いて、スタッフと呼ばれる道具の目盛りを確認します。
 
焦点板と呼ばれる縦と横の黒い線を使い、目盛りがしっかりと読み取れることを確認しましょう(焦点板には十字型の他にくさび型と呼ばれるタイプもあります)。

⑤望遠鏡のピントを調整する

レベルが設置できたら、望遠鏡を覗いたときに十字線がはっきりと見える状態にします。
 
明るい場所で十字線がきれいに視認できるように、接眼レンズ(接眼つまみ)を回して微調整してください。
 
※詳しい取り扱い方法は、製品の取扱説明書やメーカーのホームページなどに記載されている方法に従ってください。

レベルを使用する際の注意点

レベルを使用する際は、次の4点に注意が必要です。
 
レベル使用上の注意点

  • 衝撃や水分に注意する
  • 本体に負荷をかけない
  • 保守・メンテナンスをする
  • 取扱説明書に従って使用する

レベル本体は防水加工によって屋外で使用できますが、劣化につながるため濡れたまま放置や収納をしないようにしてください。
 
測量中に本体をかついで水平ではない状態で持ち運んだり、床などに乱雑に置いたりすると大きな負荷がかかり、測定結果に狂いが生じるおそれがあります。
 
丁寧に扱っていても、定期的なメンテナンスや点検を行いましょう。取扱説明書にない使い方や、説明書内で禁止されている使い方は避けてください。

 

関連記事:等価騒音レベル(LAeq)とは?基準値・測定方法とその他の騒音レベル

レベルの特長や強みを比較して測量機器を選ぶ

今回は、レベルの種類や使い方、使用上の注意点について紹介しました。
 
土地や地形の高低差、水平出しに使用されるレベルは、正しい使い方と手順を守ることで精度の高い結果が得られます。
 
デジタルやレーザーといった種類の特徴も踏まえて、ぜひ測定環境に適した製品を選んでみてはいかがでしょうか。

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