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非破壊検査に使われる鉄筋探査機とは?種類や測定方法を解説

耐震性を高めた鉄筋コンクリート造の建物が増えている一方で、構造物の安全性を維持するためには内部の状態を確認しなければなりません。構造物の中に配置されている鉄筋の位置は、鉄筋探査機と呼ばれる機器が活躍します。

探知機にはコンパクトで持ち運びに適したものや、高性能レーダーを搭載したものなどがあります。用途や使用環境に合わせて探知機を選ぶことで、精度の高い結果が得られるでしょう。

この記事では、鉄筋探査機の概要や探査の目的を紹介します。2種類の鉄筋探査方法や機器の選び方も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

鉄筋探査機とは?

鉄筋探査機とは、コンクリート構造物に照射して内部の鉄筋や配管を探知し、配筋の状態や空洞の有無と位置関係、かぶり厚さなどを確認するための測定機器です。

建築や土木の分野で主に行われている探査方法で、構造物を壊す必要がなくX線のような被爆のリスクがない非破壊検査として実施されています。

鉄筋探査の前は施工計画などを準備します。実施の手順は次のとおりです。(※)

  • 試験法の選定と決定
  • 施工計画書の作成
  • 監督者などの選定
  • 測定手順の確認
  • 測定箇所や機器の確認

試験法や監督者が決まったら、手順を確認し機器を用意します。スケジュールにしたがって、監督者や作業者が探査を行うコンクリート構造物で測定を実施します。

鉄筋探査機を使った非破壊検査では、手軽かつ安全に建造物の内部を調べられます。構造物を破壊する手間や重機の搬入も不要なため、大型機械やX線が使えない場所にも適用できます。

※参照元:国土交通省「非破壊試験によるコンクリート構造物中の配筋状態及びかぶり測定要領」

鉄筋探査を行う目的

鉄筋探査は、コンクリート構造物の改修工事の前と、竣工検査の際に行われます。それぞれの調査の目的を詳しくみていきましょう。

改修工事前の調査

すでにある構造物の耐震補強工事や改修工事の際に、内部にある鉄筋や配管を避けるための調査として鉄筋検査が行われています。

コンクリートの削孔などは、内側が見えないためにリスクが伴います。誤って建物に傷をつけたり内部の鉄筋や配管を切断したりすると、慎重に鉄筋探査を行わなければなりません。

鉄筋が入ったコンクリート造の建物は、アパートやマンションなどの集合住宅や公共施設のように一定の利用者が集まる施設が多くみられるため、供用が始まっている施設の機能を止めることはできません。

鉄筋探査機は、供用を止めずにコンクリート内部の状態を把握したり、工事を進めたりする目的で行われています。作業箇所の探査・特定とすみやかな穿孔・切断位置を決定することができます。

竣工検査

竣工したコンクリートの構造物を図面と照らし合わせて、鉄筋やピッチが図面通りであるかを確認するための探査方法です。

施工が正しく行われなければ不具合や倒壊といったトラブルのおそれがあるため、建築主や施工者が立ち会って完成状況を確認します(建築基準法に基づいて行われる完了検査とは別の検査です)。

鉄筋探査機の種類

鉄筋探査には、コンクリートを部分的に破壊する検査方法のほかに、電磁波レーダー法・電磁誘導法と呼ばれる非破壊検査が行われています。

どのような特徴があるのか、2つの非破壊検査の探査方法をみていきましょう。

電磁波レーダー法

電磁波レーダー法は、電磁波(マイクロ波帯)が一定の速さで進み、異なる媒体との境界で反射する性質を利用した鉄筋探査方法です。

レーダー装置のアンテナからコンクリート壁に向けて電磁波を流すと、電磁波はコンクリートを通り抜けて内部に進入します。コンクリートと電気的性質が異なる鉄筋や空洞に当たると、その境界面で反射して表面に戻り、レーダー装置のアンテナが受信します。

放射〜受信までの時間を計算し、鉄筋や空洞までの距離を計算して内部の状況を把握する仕組みです。

電磁波レーダー法は、電磁波を使った測定方法の一種です。電磁波法には「X線透過法」などと呼ばれる、X線を建物に透過させて内部の様子を確認する方法もあります。

電磁波は測定可能深度が深く、ひび割れ・空洞・管などが測定できます。

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電磁誘導法

電磁誘導法とは、調査を行う範囲内で磁場を発生させて、電圧の変化を利用し測定を行う鉄筋探査方法です。

導電性の材質には過電流が発生し、磁場が逆方向に導かれて電圧が変化します。この仕組みによって鉄筋の位置やかぶりの判定や厚測定を行います。鉄筋径、埋設物の太さ測定も機器によっては可能です。

鉄筋などの磁性体のみ測定できる方法で、空洞や管、ひび割れなどの測定はできません。

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鉄筋探査機の選び方

鉄筋探査機を選ぶときは、探査できるものの対象と探査可能な深さを確認しましょう。

探査の対象を確認する

探査を行うコンクリート構造物が、コンクリート以外にどのような埋設物を含んでいるのかを確認します。

鉄筋・塩ビ管・ひび割れ・空洞・非鉄金属・電線・木材といったさまざまな材料が含まれている場合は、探査可能な測定方式や対応可能な機器を選びましょう。

コンクリート内部に鉄筋などの磁性体だけが含まれている場合は電磁誘導法の鉄筋探査機で対応できますが、非磁性体も複雑に入り込んでいる場合は、電磁波レーダー方式のように非磁性体にも適したものを使用しましょう。

探査の深さを確認する

測定対象の埋設物がどの位置にあるのか、深さ(または浅さ)を確認します。

埋設物が深い場所にある、または深い位置が想定される状況では、かぶり厚が深い測定に対応した鉄筋探査機がおすすめです。

埋設物が浅い場所にある、または浅い位置と想定される状況では、精度の高い測定が必要になるため電磁誘導方式の鉄筋探査機が適しています。

非磁性体が一定以上含まれる構造物には、電磁誘導方式以外の鉄筋探査機を選びましょう。

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鉄筋探査機の特徴や使用方法・選び方をチェック

今回は鉄筋探査機とはどのような機器なのか、概要や測定方法について紹介しました。

鉄筋探査機は、構造物を破壊せずに調査を行う非破壊検査に使用される機器です。改修前や竣工時の検査に活用されていますが、事前に測定対象の構造物の材質や深さを把握し、対象に合わせた機器を選ぶことが精度の高い測定に役立ちます。

鉄筋探査機はハンディタイプや大画面表示が可能なものなど、さまざまなスペックの機器が揃っています。購入のほかにレンタルも利用できますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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