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鉄筋探査機にはどんな特徴がある?種類・特徴とおすすめの機種を紹介

鉄筋探査機は、構造物の内部を支えている鉄筋の位置や状態を把握するための測定機器です。
 
鉄筋は頑丈に建物を支えていますが、施工ミスや経年劣化、地震などの災害による影響で徐々に劣化していくため、定期的に状態を把握することが大切です。鉄筋探査機は、異常やトラブルを早期に発見し、対処するためにも活用されています。
 
この記事では、鉄筋探査機の種類と選び方について詳しく説明していきます。おすすめの鉄筋探査機も紹介していますので、参考にしていただければ幸いです。

鉄筋探査機の種類

鉄筋探査機は、探査方法によっていくつかの方式に分類されます。主なものは次のとおりです。

  • 電磁誘導法
  • 電磁波レーダー法
  • 超音波探傷検査

電磁誘導法は、電磁誘導の原理を使って鉄筋の位置を探索する方式です。コイルに交流電流を流して磁界をつくり、電磁場の中に鉄筋のような磁性体が存在したときに電流が流れて磁場が発生します。この磁場の変化によって電圧が変化すると、探査機の画面に変化した電圧が数値として表示されます。数値の変化を確認することで、鉄筋の位置やかぶり厚さなどが測定可能です。
 
電磁波レーダー法とは、電磁波を使って鉄筋の位置を探索する方式です。電磁波をコンクリートなどに放射すると、内部にある鉄筋にぶつかったときに境界面で反射し、再び受信部に戻ってきます。送受信にかかる時間を計算し、鉄筋までの距離を測定します。装置を移動させながら測定を繰り返すことで、正確な位置情報を取得する仕組みです。
 
超音波探傷検査(UT検査)は、高周波を発振して鉄筋の位置を探索する方式です。高周波は指向性の高さ・物質の境界面で反射・屈折する性質があり、この性質を利用して鉄筋の位置で反射した高周波をとらえて解析し、位置情報を計測します。
 
鉄筋探査機の種類と特徴について以下に説明します。

【鉄筋探査機の種類と特徴】

探査方式探査方法メリット
電磁誘導式磁界を発生させて鉄筋やかぶりを測定する高精度の測定結果が得られる
電磁波レーダー式電磁波を放射して鉄筋位置を測定するかぶりが厚い対象物に適している
超音波探傷検査高周波を発振して鉄筋位置や配筋状況を調べる非金属材料を検査できる

上記の特徴に加えて、独自の技術を搭載し磁界や妨害波の影響を受けないように調整できるものや、自動校正機能や大容量のデータ保存機能に対応したモデルも存在します。機種本体とパソコンを接続するためのソフトウェアが同梱されているものもあり、データの送受信や解析が行えます。
 
鉄筋探査機は、同じメーカーの製品であっても性能やサイズ、対応範囲が異なります。同じ探査方式でも機種によって搭載されている機能が異なるため、測定する構造物の特徴や深さに合わせて選ぶことが重要です。

関連記事:非破壊検査に使われる鉄筋探査機とは?種類や測定方法を解説

鉄筋探査機の選び方

鉄筋探査機の選び方として、鉄筋が埋設されている深さから方式を選定します。浅い場所には電磁誘導方式、深い場所には電磁波レーダー式が適しています。
 
探査対象の構造物に鉄筋以外のどのような材料が含まれているかを確認してください。木材など、鉄筋のように明確な測定結果が得られにくい非磁性体も含まれている場合は、精密な測定が可能な高精度の鉄筋探査機を選択してください。
 
次に、鉄筋探査機のスペックを確認します。最大探知深さ・操作性・重量やサイズ・ディスプレイの大きさやバックライト機能・日本語表示の有無・探知モードの種類や数を確認し、測定対象に適した機器を選びます。

おすすめの鉄筋探査機5選

ここからは、おすすめの鉄筋探査機を紹介します。

  • プロフォメーター PM-630AI/PM-650AI
  • ストラクチャースキャン SIR-EZ LT
  • ハンディサーチRCレーダー NJJ-95A
  • 探知機 GMS120-27
  • エルコメーター 3312-SH

以下に5つの鉄筋探査機の特長を解説します。

プロフォメーター PM-630AI/PM-650AI

プロフォメーター PM-630AI/PM-650AIは、鉄筋探査とかぶり厚さを同時に測定できる電磁誘導式の鉄筋探査機です。
 
防水コネクター・着脱できるプローブカートを搭載し、日本語対応のデータ処理ソフトや4種類のレンジ切り替え機能が付いています。タッチパネル式のカラー液晶で、暗い場所でも操作可能です。
 
本装置は測器ドットコムでレンタル可能な機種です。

ストラクチャースキャン SIR-EZ LT

ストラクチャースキャン SIR-EZ LTは、密集配筋や配管の探査も行える電磁波レーダー式の鉄筋探査機です。
 
ノイズの影響が少ない送受信ユニットを搭載し、送受信回路から受ける妨害波の影響を抑えます。鉄筋を「●」で表示し、視覚的に判定を容易にする処理機能や、自動深度補正機能・自動感度調整機能も標準搭載しています。
 
本装置は測器ドットコムでレンタル可能な機種です。

ハンディサーチRCレーダー NJJ-95A

ハンディサーチRCレーダー NJJ-95Aは、塩ビ管や空洞などの非金属を探査することにも対応した電磁波レーダー式の鉄筋探査機です。
 
リアルタイムの表面波除去処理、測定後の多点カーソル位置読み取り・記録機能を搭載。オプション機能で外部への出力が可能です。データを15分間保存および再生できるため、広範囲の測定にも対応可能です。
 
本装置は測器ドットコムでレンタル可能な機種です。

探知機 GMS120-27

探知機 GMS120-27は、帯磁金属・非磁性金属・木造の下部構造・通電線などを探知できるデジタル探知機です。
 
材料に合わせて選べる3つの探知モードを搭載し、約5時間の連続使用に対応。自動校正機能によって校正作業の手間なく壁裏の材料を探知できます。対象物が機器の真下にあるときはLEDライトが赤色に変化し、シグナル音で知らせます。

エルコメーター 3312-SH

エルコメーター 3312-SHは、本体とヘッド部の2か所で測定できる電磁誘導式の鉄筋探査機です。
 
鉄筋位置・かぶり厚・鉄筋径・方向・腐食を簡単操作で測定でき、パソコンとの接続による測定条件の設定やデータ管理・各種解析が行えます。表示は日本語のため操作性にもすぐれています。軽量かつコンパクトで持ち運びしやすく、IP-65対応の防水機能も搭載しています。

鉄筋探査機は測定対象の特徴から選ぶ

今回は、鉄筋探査機の種類と仕組み、選び方やおすすめの機種について紹介しました。
 
鉄筋が埋設されている場所には、鉄筋以外の材料が含まれている場合もあります。材料によっては異なる方式や高性能の鉄筋探査機を選ばなければならない場合があるため、測定対象の構造物の特徴を事前に把握することが重要です。
 
鉄筋探査機は、価格やサイズ、使いやすさに加えて、探査方式、測定可能な深さ、日本語表示機能、妨害波の除去機能といった機能面も考慮して、測定対象に適したものを選ぶことが求められます。