騒音計とは?規格・種類・騒音値の基準と騒音の目安を解説
騒音とは、音圧が大きいためにうるささや騒々しさと感じる音のことです。
耳に入ったときに不快感があり、健康や生活にも悪影響を及ぼすとされている音で、周辺環境が静かな場合はささいな音でも騒音に聞こえることがあります。
この記事では、音の大きさを計測する際に使われる騒音計について、規格や種類、騒音値の基準と目安について紹介します。健康に影響を及ぼすとされる騒音レベルについても取り上げています。
騒音計とは
騒音計(サウンドレベルメーター)は、聞こえている音を数値で計測する測定機器です。
車や話し声のような騒音が気になるときに使われますが、事業者が周辺の住宅地や通行人に及ぼす影響を把握するために騒音計を使うケースもあり、身の回りのさまざまな音がどの程度の音量なのか、騒音のレベルを正しく把握できます。
騒音計はリモコンのような形の先端に集音マイクが取り付けられており、手に持つか三脚で固定して集音します。得られた結果は騒音計の本体画面に数字で表示され(デジタル騒音計の場合)騒音の程度がリアルタイムに把握できます。
騒音計の規格・検定
騒音計は、日本独自の規格であるJIS C 1509や計量器検定検査規則に基づいています。一般社団法人日本規格協会・公益社団法人日本騒音制御工学会が原案を作成し、2005年に改定されました。
JIS C 1509では、サウンドレベルメーターの音響測定器の電気音響性能や定期試験の手順、試験に必要な項目を規定しています。
※参考元:JSA GROUP Webdesk「JIS C 1509-1:2017電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様」
騒音計の種類
騒音計は、普通騒音計と精密騒音計の2種類があります。かつては「普通騒音計」と呼ばれる一般的な測定器がクラス2、精密な測定が可能な「精密騒音計」がクラス1として区別されていました。
2005年のJIS規格改定によってクラスの区分は削除されましたが、普通騒音計と精密騒音計の2種類が残り、基本的な機能に加えて低周波や環境騒音の機能を付帯した製品が販売されています。
【騒音計の種類】
種類 | 特徴 |
普通騒音計 | 一般的な騒音計で、重みづけをしたA特性やC特性の騒音も測定可能 |
精密騒音計 | カラー液晶・通信機能などを搭載し普通騒音計よりも精密で1Hzから計測できるものもある |
その他 | 低周波騒音計・振動レベル計・環境測定器 |
低周波騒音計は、周波数が100Hz以下の音を測定する機器です。人の健康や建物(窓ガラスなど)に与える影響を測ることができます。
振動レベル計は、振動測定に使われています。ポンプや機械設備の揺れの程度を測定するために使用される機器です。
環境測定器とは、騒音・振動・風速・空気質・温湿度・電磁波・塩分濃度・排ガスの濃度など、環境におけるさまざまな値を測定できる機器です。
騒音計としての機能を搭載しながら、振動やその他の値も計測できるデバイスが揃っています。目的や使用環境に適した機器を使用しましょう。
騒音計による騒音値の基準と目安
騒音の値が大きくなるほど、人間の耳にはうるさいと感じます。騒音値の基準・目安は以下のとおりです。
【騒音値の基準と目安】
音量レベル | 感じ方 | 音の種類 |
120dB | 聴覚機能に支障をきたす 会話ができない | 飛行機のエンジン・至近距離での落雷 |
110dB | 車のクラクション(前方2mの距離) | |
100dB | きわめてうるさい | 電車通過中のガード下 |
90dB | 工場内・パチンコ店内・犬の鳴き声(正面5mの距離)・ゲームセンター内 | |
80dB | うるさい | 地下鉄の車内・主要幹線道路の周辺(昼間) |
70dB | 騒々しい社内・人通りのある街頭・ステレオ(夜間・正面1mの距離) | |
60dB | 普通の会話・静かな車の中 | |
50dB | 普通 | 静かな社内・クーラー(室外)・子どもの足音(集合住宅の階下) |
40dB | 気にならない | 深夜の市街地・図書館 |
30dB | 静か | 深夜の郊外・ささやく声 |
20dB | きわめて静か | 木の葉が触れ合う音・時計の秒針音(前方1mの距離)・録音スタジオ |
健康に影響を及ぼす騒音レベルの基準
音に対する不快感・睡眠の妨害・いらだち・不安感・心身への悪影響にともなう生理機能の変化・聴力障害は、騒音による代表的な健康被害です。
一般的に、騒音レベルが50dBを超えてくると「騒音」となり、60dB以上の音をうるさいと感じます。
目安として怒鳴り声は90dB以上、屋外で布団を叩く音は65dB以上、普通の会話は60dBの音量であり、壁が薄い住宅や住宅の密集地では、日常会話や屋外での作業も騒音に分類される場合があります。
距離による騒音の減衰
話し声やクラクションのような騒音は、音の発生源から離れるほど小さく聞こえます。花火大会やコンサート会場のように大きな音の発生源から離れていくと騒音が小さくなる現象は「距離減衰」と呼ばれ、音のもつ性質の一つです。
しかし、音の種類によっては距離減衰の効果が少ないものもあります。音源は点音源・線音源・面音源という3種類に分けられ、小さな寸法の点音源がもっとも減衰しやすい音といえます。
点音源の音の広がりは風船に例えられ、外に広がるほど音圧レベルが小さくなることから、音の減衰が顕著になります。線音源は音源が線上であり、円柱のような形に音が広がっていきますが、線の形をベースに音が広がっていくため、点音源のような著しい減衰がありません。
面音源は、音源そのものが面状であり、線音源よりも減衰しにくいと考えられています。一定の距離に達するまで音圧が減衰せず、音は直線的に広がるため、少し距離が離れていてもそのまま音が伝わります。
関連記事:音圧レベルにおける「A特性」とは? C特性とZ特性の違いと計測方法
騒音を正しく知るために騒音計を使用する
今回は、騒音計の概要と種類、騒音値の基準や音の減衰について紹介しました。
騒音には、飛行機や電車など限定的な場所で発生するもの、生活騒音と呼ばれる日常生活での騒音と、環境によっていろいろな種類が存在します。耳に慣れている音でも騒音に分類されるものがあるため、騒音測定を行って正しく音量レベルを把握することが大切です。
周囲への影響を正しく計測するためには、騒音計の精度や機能をチェックして比較し、計測場所に適した機器を選びましょう。