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眩しさの単位・輝度とは?照度や光度との違いや基準を紹介

明るさを示す単位の一つに、「輝度(きど)」が挙げられます。ディスプレイやデジタルサイネージを扱う場所では、設置場所や周辺環境をよく考えて輝度を設定することが大切です。

輝度は、画面の見やすさや美しさを引き立てる役割を果たします。実際にディスプレイやデジタルサイネージの輝度を設定する場合は、室内での見え方や屋外から入る光、影との関係を考慮しなければなりません。

この記事では、輝度の概要や単位について紹介します。輝度を適切に設計するとどのようなことが期待できるのかも取り上げています。明るさを調べたり設定したりする際の参考にしてください。

輝度とは?

輝度(きど)は明るさの単位の一つです。cd/㎡(単位面積当たりのカンデラ)という単位で表され、光源から放出された光の面積あたりの強さを示します。輝度が大きくなるほど、発光しているものの光が強い・明るい状態です。

部屋の中で使うパソコンのディスプレイやテレビ画面の輝度は、約250〜500カンデラ(cd/㎡)です。室内は太陽光が降り注ぐ屋外に比べて暗さがあるため、輝度が低くても視認性が確保できます。

一方、屋外で放送されているテレビやデジタル広告のディスプレイは、太陽光による光で見えにくくなることから、屋内よりも輝度を上げて画面を光らせなくてはなりません。

屋外での輝度は2000カンデラ(cd/㎡)以上が多くみられますが、太陽の影響を受けない夕暮れ〜夜にかけては低輝度でも視認しやすくなります。

輝度と混同されやすい眩しさの単位

輝度と混同されやすい眩しさの単位には「照度」と「光度」があります。2つの単位の違いをみていきましょう。

輝度と照度の違い

照度はlx(ルクス)で表される、明るさの単位の一種です。光源から照らされた面の光の強さを示します。照明器具などを使ったときに、その照明器具に照らされた場所の明るさを示すような場合に使われる単位です。

ルクスは照らされた場所の明るさを表すもので、光源の光度と照らされる面までの距離から計算します。一例として、40Wの白色蛍光灯をつけたときの部屋の明るさは500lx程度ですが、晴天時の屋外で太陽に照らされると100,000lxの明るさが得られます。

輝度と光度の違い

光度はcd(カンデラ)で表される、明るさの単位の一種です。光源から特定の一方向へ放たれる光の強さを表します。4つの方向に光が放たれている場合は、それぞれの光度を求めることができます。

光は、放射する方向によって強さが異なる性質をもっています。車のヘッドライトのように特定の方向に放射する光の強さを示すために、この指標が使われています。一例として、40Wの白色蛍光灯は300cd程度の光度ですが、太陽の光度は約3×1027cdです。

輝度の単位

輝度は光源から特定の一方向へ放たれる光の強さ(cd:カンデラ)と単位面積(㎡:平方メートル)を使用し、面光源の単位面積あたりの明るさを示します。

パソコンのディスプレイは光源が直接面を照らすので、明るさを示す指標として輝度が用いられています。一方、光源から対象までが離れるケースが多い照明器具などは、照らされた場所の明るさ(lx:ルクス)などが指標として用いられています。

輝度対比とは?

明るさが十分にあっても、見たいものとその背景の輝度に差がない場合、見えにくくなります。そこで、見たいものとその背景の輝度をそれぞれ求めて、2つの輝度の比を求めたものが「輝度対比」です。

輝度を適切に設計することで実現すること

輝度を適切に設計することで実現する3つのポイントをみていきましょう。

境界を消せる

対象物を認識するためには一定の輝度対比が必要ですが、輝度対比を少なくして境界を消すという技法もあります。

写真や動画、Webサイトなどの作品では、対象物と背景の輝度対比を減らし、境界を消して視認性を下げることで、調和や連続性といった効果を得る手法がみられます。

明るさ感が向上する

照度(lx:ルクス)は光源から遠ざかると暗くなりますが、輝度は光源と観察者が離れても基本的に変化はありません。

そのため、輝度を適切に設計して室内でディスプレイを目立たせたり、反対に目立たないように設計したりできるのです。

照らされたものがどの程度明るくなるのかをよく考えて設計すれば、その対象物を目にした人に明るさやポジティブなイメージを与えられるでしょう。

きらめきを演出できる

輝度を駆使すると、ある距離においてきらめきを表現することができます。

光源を細かく変化させてきらめきを演出する手法はさまざまな場所で利用されている手法で、豪華・華やかといった特別な雰囲気も演出できます。

JISが定める輝度基準における推奨輝度

日本産業規格(JIS)では2023年1月に屋内照明基準を改訂し、輝度に関する基準を追加しました。(※)

屋内において、設計室や製図室、事務室といった手元作業に集中する空間では、平均壁面輝度30cd/㎡・平均天井面輝度20cd/㎡を推奨しています。また、会議室や集会室のように大きなディスプレイを見ることが多い空間では、平均壁面輝度15cd/㎡・平均天井面輝度が10cd/㎡を推奨値としています。

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視認性に影響する輝度の特徴と明るさの単位をチェック

今回は輝度の概要と照度・光度との違い、輝度を適切に設定することで期待できる効果について紹介しました。

ルクスやルーメンなど、明るさを示す指標にはいくつか存在しますが、面に光を照射する場合は屋内外を問わず輝度を意識する必要があります。環境に合わせて輝度を適切に調整することで、明るすぎない視認性の確保や、消費者への明るいイメージを印象づけられます。

光は手元や対象物を照らしますが、作業のしやすさや明るい印象のほかに、心身にさまざまな影響を与えます。輝度の性質と役割を理解し、その場に応じて適切な値に調整しましょう。

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